初恋はカフェ・ラテ色
第1章

初恋の相手

私が松本洋輔(マツモト ヨウスケ)さんに一目ぼれしたのは8年前。
年の離れた従姉の桜子(サクラコ)ちゃんの結婚式だった。

桜子ちゃんは父の姉の娘で、6才下の弟の樹(タツキ)くんのふたり姉弟。私はひとりっ子だったけれど、同じ町内に住んでいたので、ふたりとは姉兄妹のようにして育った。

8才離れている桜子ちゃんよりも、年の近いたっちゃんと会っている時間が多かった。やっぱり8才年が離れていると生活が違うから。

でも、丸の内でOLをしている桜子ちゃんは時々ショッピングに連れ出して洋服を買ってくれたり、映画や遊園地に連れて行ってくれたりもしていた。それはたっちゃんより私の方が桜子ちゃんと出かけることが多かったように思う。

我が家は代々、下町で3代続く創業80年の和菓子屋『柴田屋』を営んでいる。

2代目のお祖父ちゃんは5年ほど前、76歳で亡くなった。

今は3代目のお父さんと弟子の加藤順平(カトウ ジュンペイ)さんで和菓子を作っている。

お店に出ているのはお母さんと近くから来てくれているパートの主婦、長谷部依子(ハセベ ヨリコ)さん。

4人で日々の仕事に追われている。



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