少しずつ、見えるミライ
ペットを飼うことにしたんですが......



* 。* 。* 。* 。* 。* 。*



昼下がりの休憩室で、隣のテナントの店長である沙苗ちゃんが力説する。

自分の所ではなく、私の所にアルバイトの面接に来た男の子について。




「ねぇ、何、迷ってんの? 絶対、採用だって。」

「そうかなぁ。」

「あんな可愛いペットが、わざわざ飼って下さいって来てるのに、迷う意味がわかんない。」

「え、でもさぁ.....。」

「採らなきゃ、絶対、後悔するって!」

「..........。」



もちろん、「ペット」と言っても、リアルな動物のことを指しているのではない。

それは私たちの職場であるデパ地下で、最近ちょっと流行っている隠語のようなもので、各テナントの女性店長が、自ら選んで採用した「自分好みの若いバイト君」のことを指している。

まぁ、どう考えても、あんまり品の良い話だとは言えないけど。
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