スケッチブックに描くもの
出会い
 入学式でも桜はまだ7分咲きほどだった。

 今日やっと桜が満開みたい。朝の苦手な私も新しい学校へは早目に行く。今日は風が強いみたいで、さっきから桜が舞い散っている。もったいないなあ、桜。せっかくの満開もこのあたたかさと強風であっという間に散ってしまう。でも、桜は儚いから美しいのか。今日のこの桜最高だな。
 私は一瞬の桜の美しさを楽しんでいた。綺麗だなあと。と、また強い風が吹いた。髪を抑えながら、舞い散る桜を見ると、ん? 一人の少年がテニスコートから出てくる。制服姿にテニスラケットを背負っている。
 まだ部活ははじまったばかりで、少年は一年生に見えた。なんでラケット持ってるんだろう? 小柄な二年生かな? 彼はさっさと校舎に向かって行く。
 私は彼から目が離せなくなった。でも、彼は足早にどこかへ去って行ってしまった。
 あー、もー。何年生かもわからなくなった。
 でも、ただ一つ手がかりがある。テニス部だ。男子テニス部はマネージャーを認めていなかったはず。変わってるな、と唯一マネージャーを認めていなかった部活だったので覚えていた。
 できる方法は、あと一つ。入ってて良かった。



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