白、もしくは灰色の壁
White or gray wall.

思春期を迎えてから、私には越えられない壁がある事に気付いた。
それは、色々な場面で私の目の前に現れては私を孤立させて言った。
色で例えるならば白、もしくは灰色の壁。
それは決して目には見えず私以外の人にも見える事はない。けれど確かに私と他の物を遮るようにその壁は私の目の前に存在した。


その壁は私が成長すれば更に越えられない大きな壁になっていた。私はその壁の存在に気づいていたけれど、気付かない振りをしていた。


友達と楽しく会話しているはずなのに、家族と楽しくお出掛けしているはずなのに、最愛の人と何の疑いもなく、色々話せているはずなのに、会社の同僚、若しくは上司と仲良く楽しく仕事ができて、いい関係が築けているはずなのに。
その壁はありとあらゆる場面で無意識のうちに私の目の前に大きく現れた。


次第に私はその壁を無視することはできなくなった。
その壁は私から大切なものを全て奪っていった。
正体不明の得体のしれない大きな壁に。
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