身長差43センチのふたり。
気になるあの子



――私には、気になる人がいる。


『高遠ー!このポスター貼るの手伝ってー!』

『おー。』


総学の時間、文化祭準備のため、クラス衣装を作っていると、廊下から聞こえた声につられて廊下を見ると、クラスメイトの高遠くんが実行委員の人にポスター貼りを頼まれていた。

身長が180センチ以上あるという彼は、背伸びもせずに悠々と壁の高い位置にポスターを貼っている。


いいなぁ…身長高くて。

その身長、10センチ分けてほしいと思ってしまうのは、私が身長145センチしかなくて学年一…いや、下手すると学校一小っちゃいからだ。

故に、学年一身長が高いと噂の彼が近くにいると、ついつい目が行ってしまう。


どうやったらそんなに身長が伸びるのか、一度聞いてみたいけれど、男の子と話す勇気のないチキンな私には、そんなことは夢のまた夢の話だった。

ここ最近、高遠くんを遠巻きに眺め続けて気づいたのは、彼はよく周りから頼まれごとをされているということ。

黒板消しや教室の電球交換などの高身長を生かした頼まれごとから、プリント綴じや提出課題の収集といった身長と関係のない頼まれごとまで幅広く。

そして、どんな頼まれごとも当然のように引き受けている高遠くんを、私はいつも尊敬の意も込めて見つめている。



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