艶楼の籠
噂と真実
華露の杜(はなつゆのもり)という地名の中には、艶楼街(えんろうがい)と呼ばれる一郭がある。


一夜の宴を楽しむ場所で、足を踏み入れたら最期。
女である悦びを知り、富も地位も奪いとられ、最悪命さえ投げ出してしまう恐ろしい場所といわれている。


その中でも、華や(はなや)には、想像を超えた、この世の者とは思えない程、煌びやかで艶やかな男達がいると云われている。

そのような恐ろしい場所が、昼下がりは、多くの人が行き交い賑わいを見せる。

しかし、火点し頃には、人も少なくなり妖しい雰囲気となる。

朝夕では、全く別の顔をみせるのだ。


文明も歴史も刻まれてきたこの現代に、考古学で学んだような世界が本当にここにあるのだろうか。


私は、艶楼街を怖いもの見たさで…知りたいような、恐ろしいような…。


今の私の楽しみは、艶楼街の美しいと言われている男達の噂話。

この世の者とは思えないほど、目を奪われてしまうらしい。
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