赤いエスプレッソをのせて
こんにちはという鏡の後悔に




朝起きるといつも思うのだけれど、どうして世の中はこんなにグルグル回っているんだろう。

私が低血圧だからそう思えてしまうのか、それとも本当に『世界』というものはグルグル目まぐるしく回ってるのか……

正直言ってわからない。つぅか、知らない。

そんなぼやぼやした頭のまま体を起こして鏡を覗き込むと、ああやっぱし、いつもの通りというか、寝相が悪いというか、髪質というか、それともやたらめったら伸ばしちゃったせいか、髪の毛がごっちゃごちゃに乱れてしまってる。

まるで火山の噴火かメデューサの頭みたいだ。

(ヤバいわぁ、これ)

朝食よりも先に、櫛を取って髪をとかす。

これが私の、二つある朝の日課のひとつだ。

そして、もうひとつの日課は、私の肩に話しかけること。

「…………今日もそこにいるのね、アンタ。毎日毎日おんなじことばっかりで――楽しいの?」

いいや。

正確には、肩にいる彼女に話しかけること。

私の肩には、妹の幽霊がいるのだ。
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