日帰りの恋
ドライブのお誘い
 上司の神田英二(かんだ えいじ)が誘ってきたのは、ゴールデンウィークに入る直前。

 彼と同じ部署に配属されて一年が過ぎたばかりの頃。

 青天の霹靂だった――



 株式会社トモロウは、キャラクターグッズの企画・販売を事業内容とする会社。私、真山妙子(まやま たえこ)は商品企画課に所属し、デザイナーとして働いている。

 ゆるキャラブームが始まった頃、トモロウは得意先を増やし販路を広げた。
 まずまずの業績を上げていた我が社だが、いつまでも好調が続くとは限らない。そこで、昨年度の初めに事業の発展を見据えた特別な人事があった。


 ――新しい感性を持った若手を投入しよう!


 社長の一声で、3年制のデザイン専門学校を出たばかりの私を含む5名の新人が、一挙に企画課に配属されたのだ。

 そのオフィスで出会ったのが、商品企画課第二班の神田主任。

 班は6名のチームで構成されている。彼はリーダーで、私は新人の下っ端だった。
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