姫、私は誓います。
一章・それぞれの思い

俺が守ります

久しぶりの母国、久しぶりの故郷、久しぶりの王国。俺たちがこの王国を後にしてから5年近く経っているが、何も変わっていなかった。いや、前よりも活気付いているようにも見える。驚いたような嬉しいような気持ちで姫の待つ城へと俺たちは向かった。
街についてすぐ城の事を知る兵士から、姫の父であるハン国王が亡くなったために妹家族が納めていると聞かされていた。ハン国王は良い人であったけれど、兄弟姉妹の評判は余り良くない。男性たちの女使いが荒かったり、女性たちの妬み恨みが激しかったりするんだ。レイア姫の安否が疑われた。

「只今戻りました」

そこに姫の姿はなかった。城に着き、挨拶がてら応接間に案内されたが妹家族の姿しかそこにはなかった。姫だけじゃない。俺たちの知っている兵士すら見当たらない。嫌な予感は的中したんだ。とりあえず、姫の安否だけでも確かめたかった俺たちは妹家族に率直な質問をしてみた。
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