桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜
序桜




蒼い満月の夜




丘にある一本の大きな桜の木が
月明かりで薄い紫色を放ち、辺りを淡く照らしていた。



どこだ、ここは?



私は周りを見渡すが、そこは私の知らない場所だった。


こんな幻想的な空間に何故私はいるのだろう。





上を見上げれば、普通の月よりも何倍も大きな蒼い月がそこにあった。


ほんのりと温かい月明かりが私を照らし出す。



ふとひらひらと舞い散る一片の桜の花びらが、私の両手に落ちてきた。



それが

あまりにも美しくて

あまりにも儚くて



そんな桜の花びらを私は食い入るように見つめた。


ところが、そんなのも束の間、風によって両手に乗ってた花びらが空高く煽(あお)られてしまった。


ヒラヒラと左右に揺れる花びらを見上げ、その行先を目で追い始める私。



長い時間をかけて下りてくる花びらを追い続けていると、私の右側に何かがあることに気づいた。








紺色の和服を着た青年の後ろ姿。



彼の肩まである藍色の髪が風でさらさらと揺れている。



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