雪に埋もれた境界線
プロローグ
 大きな屋敷を所有する、黒岩玄蔵という名の男から、全く面識のない六人に招待状が届いたのは、A県では雪が降り、とても寒い日のことだった。
 
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 はじめまして、私は黒岩玄蔵と申します。
 この度、私の所有する屋敷と財産を半分、誰かに譲りたく思い、誠に勝手ながら候補の方々をランダムで選ばせて頂きました。
 血の繋がった者に譲ればいいじゃないかと、怪訝に思われるのは最もですが、私には残念ながら、血の繋がった者が一人も居りません。ですので、ランダムで選ばせて頂き、実際にお会いして、屋敷と財産を譲る方を、一人決めたいと考えています。
 候補の方々には、屋敷までの交通費を少ないながら、同封させて頂きます。
 日付は十二月三日の午後二時、それから一週間程、屋敷でゆっくり過ごしてもらいたいと考えて居りますので、是非お越し下さいませ。

                 黒岩玄蔵
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