僕は君の罪になりたい
プロローグ
「俺に関わるな。教師ごときが」




新米教師の私には

その拒絶の言葉が悲しかった。




でも反対に

教師という名に火がついた。






「またみーちゃんかよ。毎日毎日俺に罵られてよくめげないね」


「いちいちめげてたら教師なんか務まらないわよ」




立入禁止になっている屋上のフェンスに寄り掛かって座っている1人の生徒。



成宮 理人(なりみや りひと)、私のクラスの生徒である。





「もしかして、みーちゃんはドMなの?」


「みーちゃんじゃなくて“先生”って呼びなさいって何回も言ってるでしょ」


「みーちゃんの方が可愛いじゃん」




彼は成績はオールAで学年首席。


文武両道、容姿端麗。



でも、自由奔放で人を見下してる彼。



その性格さえどうにかしたら完璧人間なのにな。





「何で授業出ないの?」


「だって、この学校の先公より俺のが頭いいもん」


「そうかもしれないけど、人から何かを教わるって事はいいことなのよ?」


「どうだかね」




成宮くんは薄笑いを浮かべると

見下したように私を見る。
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