envyⅠ
はじまり

私には、とっても可愛い妹がいる。
普通に可愛いとか、学年に一人いるようなレベルじゃなくて、もうほんとすっごく可愛い。

街を歩けば、必ずそういう事務所の人に声をかけられるような

───所謂、芸能人レベル。



なのに私はすっごく普通。
実は自覚がないだけであの妹にひけを取らない美貌の持ち主、なんてことは全くない。
仲良くなった子には『さきって留美ちゃんと全然似てないよねー。ほんとに姉妹?
実は血繋がってなかったりしてー。』なんて言われる始末。

留美を知ってる初対面の人にがっかりされることだって珍しくない。


そんな私はことある事に、些細なことでも留美と比べられる。劣等感だって嫌という程味わってる。
留美がいなければこんな思いしなくて済んだかも、って疎ましくも思う。

私が好きになった人は決まって、どちらかというと留美の方が好きだと言う。
なんで留美を引き合いにだすの、って思った。
だけどずば抜けて可愛い留美と私が姉妹なのは校内で有名で、だからしょうがないのだと─これが妹の方ならと思われてしまうのは仕方ないことなのだと理解しようとした。

けれどやっぱりその度に私は留美を羨ましく思った。


なんであの美貌の持ち主が私じゃなかったのか、と。

それが叶わなくても、せめて留美と無関係な女の子だったら良かったのに、と諦めにも似た感情を抱いた。



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