オレンジ色の校舎
0.酸っぱいオレンジ





『ずっと、好きだった。浅井がよければ付き合わない?』



中学3年生の冬、オレンジ色に染まる教室で、ずっと好きだった人に告白された。



『…よ、よろしくです』



あたしの返事に小さく喜ぶ君。あたしは、ドキドキを隠しながら教室の床を見つめていた。



そして桜の花びらが満開になり、卒業式のカウントダウンを惜しんでいる頃、



『…もう…別れよっか』



手を繋ぐことも
2人で寄り道することも
何も、なかった。



好きなのに、上手く話せなくて息が詰まった。
好きなのに、隣にいても一歩下がって、君の後ろ姿を見るのに精一杯だった。



今も、あの時も、好きな気持ちは閉じ込めたままだった。






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