5時間目の背徳。

65分授業。長い。


訳のわからない数式に、欠伸。


集中、出来ない。


勉強は、嫌い。つまんない。




好きなのは、背中から感じる、あの視線の持ち主。


初めて、好き、と言った。

優しくて、面白い君。




行き場の無い足をぶらぶらする。

足を曲げて、椅子の下にやる。



俺も、好き、と言った。


幸せだった。

もちろん、今も、幸せ。



曲げたままの、私の足の裏に触れた、


スリッパをはいた足に伝わる、スリッパの感触。



ああ、これはきっと、背の高い君の足。


学校用の机だと、足を伸ばすとはみ出ちゃうんだね。




私は今、確かに君と繋がってる。



すごく、不真面目な生徒。

私達って駄目だね。



チャイムが鳴るまであと5分。

チャイムが鳴ったら君と笑い合おう。



フライングの笑みが洩れる。


やば、怪しい人じゃん。

慌てて教科書で隠す。



後ろの君も、微笑んでいる気がした。




そんな、5時間目の背徳。




数式は、相変わらず、解らずじまい。



*5時間目の背徳。*
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