I
◆Prologue



野良猫が隣を通り過ぎた。


呆然とそんなことを見つめながら、私は歩く。


街灯に群がる、蛾。


あぁ、もうそんな季節になったのか。




・・・・・・・・もう、・・・?


不意に、私は顔を上げた。



私は先日、何をしていただろうか。



思わず息を吐く。




そうだ、わたしは



私を知らないのだ。








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