密の味~欲しがる男~
彼氏がいるのに元カレと…


「バカだな、あいつ」


ハンドルを切りながら、優一はどこか楽しげに口を開く。


言い回しに含みがあるのはすぐにわかった。


「彼女を他の男に送らせるなんて」


「……貴方、お兄さんでしょ」


「でも元彼だよ?」


触れないようにしてたのに。


あえて地雷を踏んで来た。


「だって知らないもの」


「え?」


「私達の事……」


苦々しげにそう告げる。


すると優一がわずかに口元を綻ばせた気がした。


「良太とはどうやって知り合ったの?」


「……」


「いつから……」


「答える必要ないわ」


元彼相手にペラペラ話す気にもなれず、冷たくあしらう。


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