俺様ホストに愛されて
涙の夜


あたしよりも少し小さめの女物のローファーと、吐き気がしそうなほどの甘ったるい香水の匂い。


玄関に入った時から、嫌な予感はしていた。



またか。



湿った空気が派手な女の喘ぎ声と共に、肌をかすめる。



あたしは拳をギュッと握り締めたまま、寝室の扉の前から動けずにいた。




漏れる吐息に怒りがじわじわ込み上げる。



< 1 / 402 >

この作品をシェア

pagetop