この涙に問いかける(TABOO+マラソン)
それぞれのペースで、沢山の人々が目の前を走り行く。

苦しさと戦いながら懸命にゴールを目指す姿に、応援の声が上がる。

大規模なこのマラソン大会には毎年大勢の人が参加し、沿道にはその何倍もの人々が詰めかける。

今年は、仕事仲間の六人がマラソンの参加申し込みをしたけれど、参加権を獲得することが出来たのはその中の二人だけだった。

「巻下(まきした)先輩は、私たちに気がつくかな? 彼女いますよーって叫びましょうか?」
「それだけは止めて」

後輩の無邪気な提案を、私は手を振って拒否した。
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