月灯りに照らされて
プロローグ
『たなか---・たなか・ゆうじ・をお願いします。
 皆様の、1票を、どうぞ・どうぞ田中に、お願いします・・・・』

ガヤ・ガヤ・ガヤ・・・・・『たなか---たなか・・・・

12月だというのに、政局は、揉めに揉め、結局解散し、世の中、選挙運動
間只中、今日は、折角の土曜日なのに、選挙運動が世間を騒がしている。

あー、煩い! どうして、選挙になると、こう煩いの!

ゆっくり寝ている事すら、出来ない!

折角の休日の朝から、選挙カーの音で、目が覚め、仕方なしに、ベットを
抜け出した、翠。

翠が、起きて、テレビのスイッチを付けると、画面には、懐かしい顔が
映っていた・・・・。

『なんか、少し痩せたんじゃない?ちゃんと食べてるの?』

そんな、言葉が頭をよぎったが・・・・・

『いけない、私には関係ない』そう思うと同時に、テレビのスイッチを切り

眠気覚ましに、シャワーを浴びる為、浴室に行き、熱いシャワーを浴びた。

シャワーを浴びながら、過去へと自分の思考が向いてることに気が付き

『ここしばらく、顔を見ることもなく、静かに過ごしていたのに
 あー、気分が沈みそうだわ・・・』

翠は複雑な、気持ちを切り替えるかのように、熱いコーヒーを飲んだ。
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