ツンデレくんをくれ!
第一印象?何それおいしいの?
「今日もカッコイイなあ、小杉くん!」


あたし、飯田奈子の目線の先にいるのは、あたしの思い人、小杉隆(こすぎりゅう)くん。


「奈子、ちょっと静かに。聞こえるよ」

「カッコイイよー。毎日見てたーい」

「聞いてないし……」


感嘆のため息を漏らすあたしの横で、同じテニス部に所属している加山志満(かやましま)がやれやれと呆れていた。


小柄な体を目一杯動かして、休憩中でもボールを打つ姿にあたしは惚れ惚れしていた。


素敵だなあ。


大学生にもなって同じ部活の人を好きになってデレデレしている女なんてみっともないと思われるかもしれない。


あたしが所属しているのは大学生のほとんどが入っているような緩いサークルではなく、一日三時間、週四日バリバリ活動している部活だ。


我が大学のテニス部の女子は、あたし達一年生二人しかいなくて、15人ほどいる男子に混じって活動させてもらっている。


だから、男子の様子もよく観察できるし、こうして見ていてもあまり怪しく見られないのだ。



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