偽りの愛は深緑に染まる
きっかけ

 夏目梨沙は、「そのこと」に決して気付かれないように、特徴がなく目立たない社員として振舞っていた。

 いつも意識して、誰かの前では最も一般的な選択をしてきた。目立ってはいけない。

 社員としての収入に見合う持ち物だけを会社には持って行った。

 毎月の給料。まだ入社3年目だから、多くはない。決して贅沢はできない。さらに給料の三分の一は実家に入れている。手元に残るのは少しだ。

 
 
 
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