なんでも屋 神…第二幕
プロローグ
桜の心地良い香りが辺りに漂い、それと共に悪戯な春風が、桜色の小さな花弁を舞い散らせる。



マジェスティに跨りながら、今春下ろしたばかりの空色ペイントを施した、薄いデニムからタバコを取り出して火を付けた。



優しい陽光が身体全体を包み込み、つい数ヶ月前まで純白の粉雪がチラついていた事さえ忘れさせてくれる。



気持ちの良い小春日和。思わずバイクのシートに寝そべり、緩やかに動く白雲を追い続けながら、青白いタバコの煙を空中に泳がせた。





「神く〜ん!」





遠くから響く一葉の声に、寝そべっていた身体を起こし、声のする方に視線を向けた。
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