愛情狂現
第六章




秋、ありがとう。





涼くん、ごめんなさい。





ありがとう、ごめんなさい。





私は誰に感謝して、誰に謝罪してるんだろう……





自分の名前を呼び続ける声に応えるようにゆっくりと目を開く。





そこには心配そうな顔をした秋がいた。





「春、大丈夫?」





「あ…、き……?うぅ……」





そして意識の覚醒に伴って回復する五感。





強い鉄錆の匂いが鼻をついた。




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