ジキルハイド症候群
優しい日常



雲一つない晴天。
海よりも広い空の清々しさは、まるで今のあたしのようだった。


「―――最近、調子が良いみたいだね」

「そうですか?」


首を傾けると大和さんは嬉しそうに頷いた。


「うん――蒼真君のお陰かな?」

「―――そうかもしれないですね」


ふふっとあたしは、笑う。
大和さんはいつものように優しい表情だ。大和さんと出会ったあの日からこうして時々この場所で会話をするのが日課になりつつあった。


勿論平日は無理なので休日に、なのだが。他愛もない話をして、笑って、冗談を言ったり―――冗談は大和さんの担当だけれど。


「今日は、蒼真君にちゃんと言ってきた?」

「勿論です。……あんな目には二度と合いたくないですから」


遠い目をすると、ハハッと大和さんが笑う。


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