Last.
7.黒い月
あぁ、何も手につかねぇ……。



四六時中ってくらい美月のこと考えてる。



あの男、美月を見る目が尋常じゃなかった。



周りなんて見えてない、
真っすぐ美月だけを見てた。



俺と……全く一緒だった。



俺と同じ気持ちの奴が、美月を迎えに来てる…。



間違いなく…俺より美月のことを知っていて、



俺より美月と一緒に居たんだろうな。



『啓吾の手…離したくないよ。』



美月の言葉を、頭の中で何度もリピートした。



こうしている間も、早く逢いたくて仕方ない。



授業が終われば教室を出てる。



早く…早く…一分でも早く美月に逢いたい。



いつも7コール目くらいで携帯に出る美月の声を聞いて、胸をなで下ろす。



『今から行くよ。』



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