クリスマス・ハネムーン【ML】
クリスマス・ナイト

南島の聖夜



「……それで。
 なんで、僕は。
 あなたと一緒に、クリスマスの夜を過ごさなくちゃ、いけないんですか?」

 ともすると。

 煮えくりあがりそうな怒りを押さえながら、やっと言った僕のセリフを。

 佐藤のヤローは、自分のこめかみあたりをぽりぽり掻きながら、返しやがった。

「ええっとぉ。
 成り行き、って言うヤツじゃないですか?」



 ぷち


 ……と。

 キレかけた心を押しとどめ。

 僕は、なんとか静かに声を出した。

「環境保護団体を名乗る、過激な集団が。
 今回の晩さん会に、手を出そうとしているために。
 パーティ会場には、招待状を持っている人間だけしか入れない、って言うのは判りました。
 それで、妻以外の人間の同伴禁止のために。
 結局、霧谷さんだけが出席して。
 佐藤さんがあぶれて、一人で帰って来てしまったんですよね?
 ……それも、判りました」

 そう、佐藤の説明を僕は復唱した。

 妻は、晩さん会に出られるのに……なんてことは。

 言ってもしかたないことだって思ってる。

 けれども。

 ちっっとも判らないのは。

「……なんで、あなたは、自分の取ったホテルの部屋に帰らず。
 僕たちのコテージにずっと、居るんですか!」


 ってコトだ!


 くそったれ!!




 僕は、思い切り不機嫌なのに、佐藤は、そうでもないらしい。

 ハニーを、晩さん会に送り届けたあと。

 近くのストアで、食料を買い込み。

 僕とハニーの愛の巣になるはずだった、このスィート・コテージに。

 当たり前のように滑り込みやがったんだ。

 
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