駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
其の弐

第一話*移り変わるモノ


***


布の中に綺麗に畳んだ衣服を積み重ねていく。

何着か重ねてから包み込んで、部屋の隅へと押しやる。

その作業を朝から繰り返し、部屋には数個の風呂敷包みや大中小の箱が八畳の部屋を狭くしていた。



一休みでもするかと立ち上がると同時に、部屋の住人達が丁度良く帰って来た。



「道場の掃除は終わったのかよ?」

この声は原田だ。 道場の掃除は、永倉達二番隊と斎藤達三番隊が任されていた。


「だいたいな。 そっちは、どうよ」

「前川の荷物は、もう纏まったぜ! 後はこっちだけだ」


前川邸の荷物整理と掃除から戻って来た原田と藤堂は、同時に部屋を覗き込んだ。


立ったまま今か今かと待っていた矢央に、「ただいま」 と、手を振って部屋へと足を踏み入れた。



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