月夜に舞う桜華
騒がしい日々



―――――――――
――――――


「よぉ」

「…………」


鳥の囀りが聞こえる天気の良い朝。
ドアを開けた瞬間、あたしはまたドアを閉めた。
瞬きを繰り返し、もう一度ドアを開く。


「…………良い度胸だな」


変わらない、光景。


「………何の用……朔夜」

「迎えに来た」


行くぞ、とあたしの軽い鞄を引ったくると歩き出す。


今日は、真っ直ぐ学校にいくらしい。


「…………変な男」


鍵を閉めてあたしも学校に向かうために歩き出す。


「…………」

「…………」

「…………」


道中、会話はない。
昨日のあの饒舌な朔夜が嘘みたいに全くと言って会話がない。


別に何かを話したい訳ではないからいいのだけど。


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