甘い声はアブナイシビレ
3.龍一と悠斗
 昨日、あれからどう帰って来たのかハッキリとは覚えてない。

 うちに帰る途中、何度も何度も耳元で囁かれて、その度に思考回路がおかしくなった。
 龍一さんの甘い声だけで、足がふらついて上手く歩けなくなった・・。

 あの声、自分でもわかってやってるよね。女の子がどうなるのかわかってやってる確信犯。

 そう思うと、ますます私の独占欲が高まってくる。
 あの声を使うのは・・私だけにして欲しい。それって、我が儘なのかな・・。
 
 過去の事は忘れよう。過去の恋愛があって、今の龍一さんがいる。

 今日、龍一さんがあの紙袋のことを話すかもしれない。でも、それはあくまでも過去の恋愛。今ではない。
 
 そうふっ切って、会社へと向かった。
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