~LOVE GAME~
GAME4



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「ただいま」

家の玄関を入り、私は力無く呟いた。
なんだか今日はドッと疲れた。

「お帰り」

顔を上げるとそこにはお兄ちゃんが腕を組んで立っていた。
……うわぁ、機嫌悪そう。
ぜったい今、貴島君に送ってもらっていた姿見てたんだろうな。
ついでに朝、迎えに来た件も説明しろって言われそう。

「ただいま、お兄ちゃん」

取り繕うように可愛い声を出してニッコリ微笑む。
しかし、お兄ちゃんには通用しなかった。

「説明しろ」
「はい……」

面倒だけど、シスコン兄にはきちんと言っておかないと後がうるさそう。
仕方ないか。
こっそりため息をつき、リビングの椅子に座る。
お兄ちゃんは対面に座り、机の上で手を組んだ。

「今、男に送られてきたな。朝の奴と一緒だ。アイツは誰だ」

端的に、単刀直入に聞いてくる。

「同じクラスの貴島君です」
「付き合っているのか」
「はい。一応……」

下を向きつつ、言葉小さく答える。
付き合うと言っても、一週間の期限つきだけどそこまで説明するのは面倒だ。

「ふぅん」

お兄ちゃんは黙って私を見る。
何か言いたげな様子にドキドキしてくる。
見透かすような、観察するような視線が怖い。

「何? 何か文句ある?」

強気で言い返してみると、首を横に振られた。

「いや……。まぁ、いいさ」

お兄ちゃんはそう言うだけで、席を立ってソファーの方へ移動し、さっさとテレビを点けて見始めた。
あれ? もっと色々聞かれて言われるかと思った……。
ちょっと拍子抜け。

「毎日朝は迎えにくるんだろ?」
「あぁ、うん。毎日かはわからないけど、多分そうなんじゃないかな?」
「あっそ」

お兄ちゃんの言い方が妙にひっかかるけれど、変に突っ込まずほっとした。
今のうちに、と私はそーっと黙って自分の部屋に戻っていった。

それから毎朝、時間になると貴島君は迎えに来てくれた。
その度にお兄ちゃんは威圧感バリバリで対応する。
もう、やめてほしい……。
何か言いたげだが、何も聞かれない所が余計いやだ。
登校しながら貴島君に謝る。

「ウチの兄が毎朝ごめんね?」
「ううん、いいよ。大事にされてるんだね」

貴島君は苦笑しながら、優しい言葉をかけてくれる。
そして、あっ、と呟いた。

「ごめん。今日一緒に帰れないんだ」
「そうなの?」

聞き返すと、貴島君は困ったようにため息をついた。

「うん。今日は塾の開始時間が早くてさ。ダッシュで帰らなきゃならないんだ」
「そっか、わかった。大丈夫だよ」
「少しでも一緒に痛いんだけど、こればかりはね」

残念そうな貴島君に軽く微笑む。
そう思ってくれていたんだ。
私は、たまには一人で帰るのもいいなんて思ってしまったよ……。

期限まで今日をいれてあと四日。
土日を入れたら、学校で会えるのは今日と明日だけだ。
期限を設けてしまった分、余計に残念に思うのだろう。

「塾、頑張ってね」

笑う私に、貴島君は嬉しそうに微笑んだ。







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