秘密
◇第6話◇
◆◆◆


「あ♪いらっしゃい。アスカちゃん♪今日は休み?」

ガラリと勢いよく引き戸を開けて、いつもとは違うカジュアルな格好で、ほぼ素っぴんのアスカが一人でやって来た。

「こんちは♪茜くん♪」

アスカは寄ってきた恭介を軽くスルーして、いつものカウンターに腰を下ろした。

「こんちは。アスカちゃん」

「マスター♪こんちは♪」

奥のマスターに声をかけるアスカ。

「おう。アスカちゃん、こんちは、今日は休みか?」

「うん。休み♪先日はありがとね。結局マスターにオゴってもらっちゃったから、今日は売上協力しにきた」

「はは。そりゃありがたい、ゆっくりしてって」

「うん」

「アスカちゃ〜ん…俺、無視?…」

「あら?居たの?キョン」

「はじめから居ただろ?」

「あたしの目はイケメンしか捕らえないのよ、あははは♪」

と、いつもの二人のやり取り。
それなりにコイツ等がお似合いだと思ってしまうのは、俺だけじゃないはず。

「アスカちゃん、何にする?」

「ウィスキー、ロックでね♪」

とウインクするアスカ。

「…はいはい」

「アスカちゃん?今日は茜にちょっかい出したらダメだよ?」

アスカの隣に座り、耳打ちする恭介。

「は?何でよ?」

「ほら、あれ」

恭介はアスカの後ろの奏達が座るテーブルを指差す。

「もしかして?茜くんの?」

「そう、それ」

奏達が座るテーブルに目をやると、美樹がこちらを伺うように見ていた。

「ヤダ、茜くんったら♪うふふ♪」

「はい。アスカちゃん、ウィスキー」

グラスをアスカの前に置と、アスカはそれを持ち、立ち上がると、後ろのテーブルへと移動して、

「こんにちは♪茜くんの同級生?」

「は、はい。こ、こんにちは」

「…こんにちは」

「二人とも可愛い♪ね?一緒してもいい?あたし一人で寂しくて…」

「は、はい。どうぞ」

「ありがと。あたしアスカ」

「奏です」

「……美樹です」

アスカは二人が座るテーブルに着いてしまった。

「お姉さんが何でもオゴってあげる♪」

「ホントですか?」

急に態度が変わる美樹。

「うん♪」






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