秘密
◇第10話◇
◆◆◆



約一時間程走ると目的地が見えてきた。


デカい観覧車が見えてきて、車も渋滞していた。


こう言う時ってバイクはいいよな。
渋滞でも進むことが出来る。


家を出たのが9時前だから、着く頃には丁度オープンする時刻だろう。


ここまでノンストップで走ってきたから奏も疲れてるかも知れない。


まずは軽めの観覧車から行くか?
















なんて。

思ってたのに……


「佐野君!次、あれに乗ろう!」


俺の手を引っ張り走り出す奏。


また絶叫系ですか?奏さん…


奏はここに着いた途端に、次から次に絶叫マシンばかりはしごして、俺は何度も魂が抜けそうになった。


俺ってば絶叫系が苦手らしい…
…知らなかった。


「奏っ、ちょっと休憩しよう、喉乾いた」


一息つかないと身が持たない。


「えっ?…うん、そうだね」

「…確かカフェがあったよな?」


パーク内のマップを見ながら、カフェの方へと足を向ける。


「あっ!見つけた!」


いきなり走り出す奏。


「えっ!?…奏っ!」


後を追って走り出すと、奏は熊?の着ぐるみに飛び付いていた。


「きゃあ〜!会いたかった〜!」


会いたかったって…
…奏…誰?…その人(熊?)


奏はパーク内のキャラであろうその熊?に鼻で頬にキスをされ、ハグされていて。


「佐野君、写真撮って、この子パーク内で滅多に会えないレアな子なんだよ?可愛いでしょ?」


…子って、中に入ってるのは男だろ?
そんなにしがみつくなよ。
あっ!コラ熊っ?。
今奏の尻に手を回したな。
しっかり見たぞ、許せん…


「早く撮って〜?」


顔をくっ付けて抱き合う熊?と奏。

早く引き剥がさねば。


ポケットからデジカメを取り出し素早く撮る。


「撮れた?」

「うん」


奏は熊?に握手してお礼を言うと、スキップしなから走り出す熊?を手を振って見送っていた。


あんな子汚い熊?のどこが可愛いんだ?


中身はハゲたオッサンかも知れないのに…








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