危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
初恋、なのかも
「ハアー」


お昼休み。私はお箸を持つ手を止めると、今日何度目か分からない溜め息を、ひとりでについていた。


「綾ちゃん、どうしたの? 何か今日、変だよね? 具合悪いの?」


純ちゃんもお箸を止め、心配そうに私の顔を覗き込んできた。


「ううん、そんな事ないよ」


「じゃあ、何か悩み事?」


「……ううん」


「“ううん”って、その前の“間”は何なの?」


「え? うん……」


昨日、涼とキスしてから、ずっと私はおかしい。

何をしていても、ふと涼の顔が目に浮かび、唇の感触が蘇り、溜め息が出て、胸が苦しくなってしまう。


「ハアー」


また出てしまった。


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