モラトリアムを抱きしめて
メッセージ
近くの商店街をぬけると大きな通りに出る。

その奥にある、それぼど大きくはないデパートまで、手をつないで歩いた。

はっちゃんは指まで折れてしまいそうなくらいほっそりとしている。

家を出る時、履き物に困ったが私のブーツでよかったようだ。

内側がモコモコしているため、私には少し窮屈だけれど、はっちゃんには調度よかったみたい。

寒いからと着せたカーキ色のモッズコートはやっぱり少し大きいようだけど。

ワンピースの中はカップ付きのキャミソール。

それが歩くたびに形として現れ、大人の女性とさほど変わりはなかった。いや、この無邪気な笑顔の奥で、大人の女性はすでに出来上がっているのだ。


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