恋人 × 交換!? 【完】
◆3:デートの誘いに心は炭酸!


。●


どうやって家に帰り着いたのか、ぶっちゃけ欠片も記憶がない。



意識と足が別行動を取っているみたいに、気がついたら家にいて、うがいと手洗いをして、部屋で着替えを済ませて。



その間も、ずうっとおぼろで。



夕食のためにテーブルについている今も、私はひたすらにぼうっとしていた。




「……恋……こい……こく……」


「どうしたの、アンタ」


「鯉?『鯉こく』?円、そんな料理好きだったっけか?」




お母さんとお父さん、ふたりして私に声をかけてきてやっと、我に返った。



「え……っ?こ、鯉?鯉こく?なんの話?」


「鯉のみそ汁のことだよ。つぶやいてただろ今。違うのか?」



すき焼きの白菜をつまみ上げながら、お父さんがいった。

< 28 / 270 >

この作品をシェア

pagetop