初恋プーサン*甘いね、唇
.○chapitre8:天使の前で口づけを


。・*○*


渡仏当日――。


言われた通り電車で近くまで行き、そこからタクシーで空港へ向かった。


二度目とはいえ、前は知っている人について行っただけだったので、ひとりきりは初体験。


入り口がAからHまであることだけでも驚きで。


思わず、


「どこから入れば飛行機に乗れるのだろう」


と、一瞬立ちすくんでしまったほど。


中へ入り、とりあえず教えられた通りにチェックインカウンターへ。


親切に教えてくれた窓口のお姉さんに感謝しながら、ボーディングカードをもらって無事チェックインが完了した。


『無事チェックイン』


美咲にメールを打って、


『了解。気をつけてね』


返事がきたところで、私は携帯電話の電源を切ってバッグにしまった。


ここからは、完全なひとり旅だ。


次に、エールフランス航空ということで、南出発ゲートへセキュリティーチェックへ向かった。


奥歯に銀の詰め物をしていたので、少しドキドキしながらゲートをくぐったけれど、そこもなんとかパス。


髪留めやブラのワイヤーなど、引っかかりそうなものはしないことと念を押されていたので助かった。


そして、エスカレーターで下へ降り、出国審査カウンターで無事にスタンプを押してもらって、いざ搭乗ゲートへ。


ウィングシャトルに乗りながら、私は最初の難関であった一連の手続きができたことに、まずは自分を褒めてあげたい気分だった。


まだ出発してもいないけれど……。


< 147 / 201 >

この作品をシェア

pagetop