Tricksters2ッ
君の瞳に乾杯(寒っBy淳一)
────「乾杯!」
「かんぱい……」
映画をみて、夕焼けを眺めながら最高のロケーションのレストランで肩を並べて食事する。
もちろん手錠で繋がれたままだ。
「はあ、今日は最高に楽しかった。淳一は?」
「俺? あんまり……藍莉、俺さ騙し合い苦手だから単刀直入に聞いてもいいか?」
「やだ、なに? 緊張しちゃう。愛の告白? 君の瞳に乾杯とか?」
「ちが……しかも、古いし寒い」
負けるな淳一。俺は今まで数々の変人を相手にしてきたじゃないか、自信を持て。
「お前が、びっくりっぱこをトミックカラーズとかいう会社に売り込んだのかもしれないのは、俺の責任だ。そこを責めるのは男らしくない。
販売前の商品を見せて、持ち帰らせた俺が悪い」
藍莉は、「何よ、その話つまんない」と俺から視線を逸らして無言になる。
「香月家に娘がいないのもバレてる」
藍莉の顔から表情が消えた。図星なんだ。
俺は、そこで言葉を慎重に探した。