わかれあげまん
ゆず先生
* * *
「びぎゃ!」
ステンレス製の洗い場の前で絵の具まみれの黒のエプロンの紐を結びなおしていた柚は、突如へんてこな悲鳴を上げ飛び上がった。
真っ赤な顔で後ろを振り返ると。
小学一年生くらいのいかにもやんちゃくれそうな男の子がなんとあろうことか、筆の「柄」で柚のオシリの中心辺りをズボッと突いていた。
「かんちょーーーー!」
「こらあ!!アキラくん!?筆でそんな事しちゃダメでしょお!?」
指ならいいんだろうか……
というツッコミはちょっと脇へ置いておくとして。
はあ。
こんなガキンチョにすら、あたしって“男”に弄ばれる運命なんだろうか。
などと大袈裟に悲観する柚。