九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
三枝:事件



朝は弱い。

九我彼方はとにかく朝は弱い。



「ほーら起きろー」


ふざけて妹がベッドの上にダイブしてくる。

絶好調なら叩きのめしているところだが低血圧な彼方は無抵抗のまま押しつぶされそう。



「お、お前な…男の部屋に無断で侵入してベッドにダイブとは何事だよ」

朝ばかりは湊の方が優勢。

知ったことかと布団を引き剥がしダブルベッドの空いたスペースに自分が包まった。




「みーぃなーぁとーぉぉぉ…」


「早く起きてよ、朝ご飯置いてくよ。」


「布団返せぇぇ」



地獄の底から這い出てきたような不気味で低い声質も朝では一蹴すれば即敗退。

一時だけ勝者になれる、湊には清々しい時間帯であるのだ。



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