九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
宍戸:捜査③



双葉の部屋も一条同様、荒らされた形跡は一切なかった。

鍵はきちんとかかっており、双葉のボストンバックから発見された。



部屋の造りは一条の部屋とまったく同じ。

テーブルの上も殺風景だった。



辻は、窓から一条の部屋の方を見た。

やはりベランダが無いため飛び移るなんて業は不可能と思われる。


先ほどの辻の推理に、『双葉が犯人なら密室を作ったことになる』という問題が加わった。

自殺しようとする人間がそんな冷静なことを思い付くわけがない。



「もう八方塞がりじゃあないですかぁ」


泣き声を上げながら、辻は潮風が吹き込む窓を閉めた。



< 81 / 132 >

この作品をシェア

pagetop