何度忘れようとしても
CHAPTER Ⅱ
結局、帰社できたのは19時だった。

「ただいま戻りました」

挨拶をしながらオフィスに入る。
まだ仕事をしている社員がチラホラいる中、営業3部の自分のデスクへと戻った。

3部のメンバーは皆帰ったようで、高岡さんがひとり残って仕事をしていた。
何やら集中してPCに向かう彼女に声をかける。

「お疲れ様です」

「あら、井川ちゃんお帰り。なんか久しぶりね」

『土日と今日の朝、顔を合わせなかっただけですよ』と、高岡さんの冗談に突っ込む元気も無く代わりにヘラヘラと笑いながら私は席に着いた。

< 33 / 222 >

この作品をシェア

pagetop