BLack†NOBLE
3.tre




 半端ない……吐き気と頭痛の中
 ゆっくりと頭が回転をはじめる。


 何か薬品を嗅がされたのか、全身に力が入らない。


 俺は固い椅子に全身を拘束されている。

 椅子といっても芸術の欠片も感じられない、ただの板の組合せだ。



 普段お嬢様がダイニングチェアとして使われている椅子のように、人の座り心地を緻密に計算され作られた椅子とはわけが違う。



 ズキンと痛む脇腹は、スタンガンを押しあてられたのだろう、皮膚が焼けるように痛む。



 瞳を開いてみても景色が霞み、吐き気が増すだけだ。

 後ろ手に拘束されている手は辛うじて指先が動かせたが、なんの役にも立たなかった。

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