夫婦ごっこ
隙間風
それがわかってて契約結婚引き受けたんだもん…
あの時だって口をすっぱくして
何度も恒くんは

俺たちの間には信頼はあっても愛はない。
紅波を妻として扱うけど女とは見ない……。

そう宣言してたじゃん。
だからさき恒くんが叩きつけた宣言は
今さら傷つくことのない ちゃんと契約上納得して
こうなったことなのに……
わかっているのに 胸が痛かった。

この話を受けた時と 今では 私の気持ちが
大きく違うから……痛いのかもしれない。


  私は恒くんを愛し始めている


だから辛いのかもしれない。
はっきりと投げかけられたほかの人を愛しているという
決定的な言葉に


  片想いってやつか……。


でもきっといつか……こうして生活してたら
もしかしたらそれが許される奇跡も


訪れるかもしれない……。


その小さな…奇跡を信じて……
私は恒くんの求める


戸籍上の妻を演じるしか今は…ない…。


自分の心に素直に向き合った時から
私の切ない片想いが始まった。
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