私たちの恋模様
私たちの恋模様

理紗side

「持田さんって彼氏いるのかな?」

期待に満ちた崇之の顔。

「いないと思うよ。」

「思うって、友達だろ?」

そう言いながら、崇之は私の机をトントン叩く。

「そうだけど…。」

郁美とは同じ部活で話もするけど、あまり恋バナが好きじゃないのか、その手の話題には乗ってこない。

「あの癒し系な感じ、他の女子とは違うんだよなぁ。」

確かに郁美は癒し系だ。

女の子の間でもその癒し系ぶりは人気で、『お嫁さんにしたい子』ってランキングをしたら間違いなく1位になる。

あの雰囲気はきっと生来のもので、私が頑張ったところで出せるものではない。


崇之の視線の先には田部ちゃんと話している郁美。

「あの笑顔で微笑みかけられたら、男なら誰だって一撃で落ちるな。」

どういう生き方をしてきたら、あんなに無垢な笑顔になれるのだろう。
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