会いたい
再び会う

 日曜の午後、買い物を終えてアパートまでの道程を運転中、私はふと、昨日空き家の門を開け放したまま帰ってきたことに気づいた。
 あの時はわかっていたけれど閉めて帰る心の余裕がなくて、そのままにしてきてしまったが、一日して冷静になって考えると、非常に心配になってきた。
 泥棒が入っているんじゃないか――何もない空き家に、泥棒が入るわけもないのだが――、子供達が入ってきて悪さをしているんじゃないか、など、悪い方へばかり考えがいってしまう。

「――」

 三秒考えてからハンドルを大きく切って方向転換し、私はまた空き家へ向かった。

 そういえば、あの幽霊はまだいるのだろうか。

 思い返して、私は少し笑ってしまった。
 あれはなかなか変な幽霊だった。
 生きているみたいに反応する。あの透け透けの体で。
 言葉が通じるなら、霊界に透がいるのかどうかでも聞けたのに。

「あ――」

 文房具店の看板を前方に確認した時、私はあることを考えついた。

「――まだ、いるかな」

 何故かわけのわからない予感を確信して、私は店の駐車場へと入った。


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