セックス·フレンド【完結】
22
「目が覚めた?」


気づいた時には、とっぷりと日が暮れていた。


いつの間にか、あたしは眠っていたようだ。


あたしを乗せた西村君の車が夜の街を走っている。


「やだ、ごめんね…」


「緊張の糸が切れたんでしょう。よく眠ってた」


西村君が、頑張ったねと、あたしの頭に手をかざす。


忘れていた、くすぐったいような感覚。


「気分は?」


聞かれてあたしは、


「最低よ、最低最悪」


と答えた。


「なるほど」


西村君が笑う。


「そんなジョークを言えるようになったら、もう大丈夫だ」


確かに、息苦しさは感じなかった。


どうしようもない喪失感はあるにせよ…。


そう実感した途端、人肌が恋しくなった。
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