久遠の花〜 the story of blood~
第1章 月花煌々― And when fate―

第1章 月花煌々― And when fate―




 言うなれば、これは定めなのです。





 彼等がここに来ることも。

 彼女がここで出会うのも。



 そう――これは、必然と言う名の願い。



 全ては、たった一人から始まりました。

 己の信念を貫き、人々を護るために。



 あの方は、これからどんな生を歩むのでしょう。

 本来、生とは自ら切り開くもの。それなのに、あの方の生は“いつも仕組まれた生”。当たり前に全う出来ず、ただ糧となり、滅びる定めを与えられただけ。

 いつからか、あの方はそういう存在になっていました。



 ――でも、これからは違います。



 この世では、あの方は一人じゃない。

 どんなにうまく仕組もうと、いつか綻びが生じるもの。

 抑えつけられたソレは、今まで溜まっていたものを吐き出すように――誓いを持った者たちを、惹きつける役目をすることでしょう。

 私も、そのための駒。

 色々と役目はありますが、今はまだ、何もいたしません。



 私の役目はそう――あの方を“陰ながら護る”、ということですから。



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