One Night Lovers
4.もう二度と離さない
 その後、私は暇さえあれば雑誌やネットなどでドラマとケイゴに関する情報収集に徹し、彼のことならどんな小さな情報も漏らさぬようにとアンテナを張って生活していた。

 知らない人が見れば、ケイゴの熱狂的なファンだと勘違いするだろうと思う。

 事実、今の私はファンの一人でしかない。

 そしてわかったことは、まずケイゴの名前はホシザキケイゴで、これは本名らしいということ。

 もう一つは今回のカジケン主演のドラマが、脇役ながら初めて名前がついた役に抜擢されたということ。

 これ以外のケイゴの情報はほとんど出回っていない。

 でも、ドラマに出演した影響で女性の間でケイゴの人気が急上昇してしまった。

 なんでも私が大型電器店前で見た、カジケンを殴る迫真の演技が乙女心を鷲掴みにしたらしい。しかもあの容姿じゃ人気が出て当たり前だ。

 翌週からは録画したドラマのケイゴが映っている場面だけを鑑賞するのが日課になった。

 ストーリーも主演のカジケンもどうでもいい。

 だけどテレビの中のケイゴを眺めていると、彼が自分だけのものではなくなってしまったようで寂しかった。

 きっと思い出の中のケイゴをひっそりと懐かしむだけのほうが、満足度は高かっただろう。そしてだんだんと彼を諦めて、忘れることができただろうと思う。

 でも寂しくても不満が募ってもたとえテレビの中であっても、やっぱりケイゴの姿を見ていたいし、見ると嬉しくてほんの少しだけ元気が出た。

 たまにシンジからメールが来るので、これには適当に返信する。テレビでケイゴを見ると幸せな気分になれるが、それだけで生きていけるかというと実際は無理だ。

 それにシンジには人生の安泰という大きなおまけがついている。

 これを逃すと一生後悔するかもしれないという思いもあり、誘われれば付き合うという消極的な態度ながら、彼とは恋人未満の付き合いを続けていた。

 だけどシンジとの関係は、いくら彼が真面目で好青年だと言っても、いつまでもこのままというわけにはいかなかった。
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