琥珀色の誘惑 ―日本編―
(17)愛は運命のままに
ミシュアル王子を叩いた時は大騒ぎした父だったが……今は恐ろしいほど静かだ。

おそらくは、クアルン側から婚約破棄の申し入れがあったのだろう。


世間では明日からゴールデンウィークだと賑わっている。

でも舞は、芽生えてすぐに失った恋のショックで、ドン底だった。




――婚約を破棄する。舞、君は自由だ。


そう言うと、ミシュアル王子は舞を残してどこかに消えた。

ほとんど脱がされていた服を必死で身に着け、舞はリビングへの扉を押し開けたのだった。
すると、そこにはターヒルが待っていて……。


「ご自宅までお送り致します。王太子殿下のご命令ですので、ご了解くださいませ」


日本語で言いながら、うやうやしく頭を下げた。



< 92 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop